もこっちが本格的にモテだすまでの軌跡とキャラについて①KC1巻~9巻編『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』レビュー

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「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」という漫画をご存知だろうか。

連載当初は「女子高生のリアルなぼっち生活」というありそうで無かった題材で話題となり、アニメ化までしたWeb漫画である。

しかしアニメ後はひっそりと鳴りを潜め、作者にして「アニメが終わって部数絞られ続けてる」と嘆いていた中、ここ最近最新巻がAmazonカスタマーレビューで星平均4.9という数値を叩きだすほどに人気が再燃している。(漫画に対して辛辣なレビューが多いAmazonにおいて300近いレビューのほとんどが星5つというのは驚異的)

自分も当初は単なるぼっち漫画で終わると思っていたところ「最近何だかスゲー面白いことになってきたな」と思いの丈を吐き出したくなったのでレビュー記事を書くことにした。

非常に長くなってしまった上にネタバレ満載なのでできれば全巻を一通り読んだあとで見てほしい。

ちなみにわたモテは雑誌掲載では無くWeb漫画なので、ガンガンONLINE公式ページにてほぼ1巻の内容(喪1~7)と最新話が無料で読める。

ガンガンONLINE
完全無料で連載中! ガンガンONLINE/私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(谷川ニコ)/高校に行けば自然とモテると思っていた女の子…。しかし、無残な現実が襲いかかって来る! この状況をどう打破するか? 女子高生の苦悩が始まる! 谷川ニコが描く、ちょっと切ない日常ライフコメディー!!

とりあえず触りだけでも読んでみたければこっちがおすすめ。ただし最新話についてはそれまでを読んでいないと面白みが薄れる(というかほぼ違う漫画になっている)ので、できれば1巻からすべて読んでからの方がいい。っていうかしてくれ。しんどいけど。

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暗黒の1年生期(KC1巻~KC4巻)

この時期のもこっちは「悲惨」の一言である。

学校で関わる人もほとんどおらず、ひたすらリア充へのヘイトと中二病を駆使した妄想を武器にぼっち街道を全力で突き進んでいる。

元々わたモテが話題になったのも、この時期のぼっちっぷりがあまりにリアルに書かれすぎていたからであり、ある意味この漫画の真髄とも言える時期である。この時期を読まずしてわたモテは語れない。

しかし2巻くらいまでならまだ笑って読めるが、3巻あたりから「もうこれ以上は心が痛くて読めない」「昔を思い出して吐きそう」「あれ・・・なんで俺泣いてるんだろ・・」と離脱してしまった人も多いだろう。

自意識過剰な妄想、屋上階段での1人飯、ズレた発言で引かれる、クリスマス会に参加できないでブックオフで立ち読みして帰る等々「そこまでリアルにしなくてもいいだろ」と言いたくなるくらい悲惨な描写に読んでるこっちの心が痛くなってくる。書いてて自分も吐きそうになってきた。

個人的に一番キツイシーンがこれ

誰にも存在を認識されず「私ってクラスでいないもの扱いされてるのかな?」と呟くほど悲しすぎるエピソードが次々と書かれる。

今思うとこれらは逆に最近の話の伏線になっているわけだが、続きがまだ無かった当時はほんとに「終わる事のない永遠」状態だったので読むのがほんとしんどかった覚えがある。

辛うじて救われるのはもこっち自体は何だかんだで強靭なメンタルを持っており、何だかんだでちゃんと学校やイベント事に行ったりと前向きであったりすることや、イジメるような悪い人間は出てこず基本周りの人間はいい奴が多いこと、あとはゲームやアニメ等現実逃避を行う術があったことか。

学校外ではあるが親友のゆうちゃんや家に弟もいるのでパーフェクトぼっちというわけではない。でなければ文化際などもっと悲惨なことになっていただろう。

それでも修学旅行回以降読み始めた人にとって改めてこの時期を読むのは心が持たない可能性もあるが、3巻での生徒会長とのエピソード等々今となればこれらはすべてが伏線になっているので、この時期を読んでこそ後に「もこっち良かったね。。」というカタルシスを味わえる。

なのでキツイ人にはほんとキツイだろうが是非とも切り抜けてほしい。最新巻の評価が高いのもこの時期あってこそである。

ただ3巻あたりが一番描写的にキツいので心して読んで欲しい。文化際の準備とかもうね。。

転機前哨戦(KC5巻~KC7巻)

もこっちが本格的に転換期を向かえたのは修学旅行編(KC8巻)ではあるが、実は2年生初頭(KC5巻)から悲惨な学生生活にも少し変化が訪れる。その要因は「積極的に人と関わろう」という現実逃避からの脱却と、多少なりとも関わってくれるキーキャラクターの登場である。

現実逃避からの脱却

入学当初のもこっちは自意識過剰が故、「私は面白いんだから友達は周りから寄ってくるだろ」と願っていた節があるが、結果1年ぼっちになってしまった。その現実を受け止め、「このまま逃げるだけじゃダメだ」と行動を起こしだす。

甘えを捨て、自分から積極的に関わっていくことで、初めて人との関わりができるということを再認識しようと多少なりとも努力していくのだ。(中学時代は自分から声をかけていたし元々できなかったわけではない)



人と絡んでいこうという行動は失敗に終わることの方が多いが、妄想だけで終わっていた頃に比べ結果的に自分の存在をアピールすることはできているため「いないもの」とされていた1年生期より多少は存在を認められるようになっている(スベった奴が「黒木さん状態」と呼ばれたりち○こに詳しい等ロクなものではないが)

2年生でクラス代えをして人間関係がある程度リセットされたのも大きいかもしれない。あと何気に担任がアレだったことで結果的に救われることも多い。

こんなこと言われたら間違いなく明日から学校行かない


3人のキーキャラクター

そして5巻から登場する3人のキーキャラクターがネモこみさんである。

この3人の存在によりそれまで学校で話す人が担任と生徒会長くらいしかいなかったもこっちに多少の光明が差し始める。

もこっちの存在をわかってくれる人間「ネモ(根本陽菜)

ネモに関してはこの前からたびたび登場はしている(実は茜と一緒に1巻から登場している)が、それまでは「リア充の象徴」としてのモブキャラであり、もこっちに関わってくることは無かった。

それが2年でも同じクラスになり、たまたま1年の時と同じく席が隣で、自己紹介で壮大にスベったことを覚えていたのをきっかけに学校でちゃんと話しかけてくれる初めての人物となる。ちなみに入学試験のこと(KC12巻)はお互いすっかり忘れていたようである。

(※追記:と思っていたら実はネモの方は覚えていたことが最近の話で判明した)

ネモも高校以前はそこまで明るいタイプでもなかったり、(趣味は合わないが)アニメ好きだったりと似たもの同士ではあるのだが、この時点では「カースト上位の人間がたまに絡んでくれる」程度の扱いであり深い関係になっていくのはもう少し後になる。

将来の夢が判明した今思えば、この時期の絡み方はもこっちをファンに見立てての予行演習だったのかもしれない。

素のもこっちを出せる「こみさん(小宮山琴美)

お互いを「クソムシ」「便所コオロギ」と呼んだりロクな関係ではないが、何気にもこっちを人と関われるようある程度更正してくれたのがこみさんである。

女子高生でロッテ(野球)好きだったりちょっとおかしな思考であるため、リア充に囲まれてきたもこっちにとっては言い方は悪いが学校内で初の『見下せる存在』であり、本音の自分を出せる学校内で初の存在となる。

こみさんとのものすごく低レベルな争いの中で、結果的に他人との話し方を忘れかけていたもこっちが徐々に更正されていくことになる。

妙なところで気が合うふたり(KC7巻より)

ゆうちゃんとも共通の友人のため、ここから3人というグループ行動を行う機会が増えていくことにもなる。

お互い気が合わない関係ではあるが、後の修学旅行編ではもこっちを仲間に入れてあげようとするなどそこまで嫌悪しているわけでもなさそうだ(この漫画は基本もこっち以外に悪い奴は出てこない)

何気に気にかけてくれたりネタになったりするのである意味感謝してもいい人物ではあるのだが、もこっちからすれば弟(ち○こ)好きの変態というそれ以上でもそれ以下でもない存在であるのが悲しいところ。

ある意味もこっちを一番わかってる「弟(黒木智貴)



主要キャラに男性がほとんど出てこないわたモテにおいて唯一と言っていい男性キャラが弟である。

それまで家での関わりはあったが、同じ学校に来たことで学校内での関わりも増え、ある意味もこっちの心の拠り所のような存在となる。弟からすればこの上なくウザい存在ではあるが、一応姉であるが故放っておけない部分もあり所々で相手をしてくれることになる。

こみさんがもこっちに構うのは弟好きな部分があるのも大きいため、こちらもある意味もこっちは感謝すべき存在なのだが、ち○こにしか興味持たれてない存在としか思っていないのが悲しいところ。

ちなみにサッカーはそこそこうまいようである。

ターニングポイント「修学旅行編」(KC8巻~KC9巻)

1年生時に比べ多少は人との関わりは増えたものの「今日もいいことなかったな・・・(喪68)」と呟くほどに学生生活がそこまで楽しいものになっていなかったもこっちであるが、一気に物語が動き出すのがこの修学旅行編(KC8巻)からである。

現在の「黒木智子となかまたち」が勢ぞろいするのがここからなので、ある意味わたモテにおける「後編」と思っていいかもしれない。

それまでの「ぼっちの生態観察日記」的なジャンルからは違う漫画になっていくので批判も少なからずあるが、作者が「ネタが尽きるまではぼっち路線」と宣言してたんだから仕方ない。

周りの人間の見方を変えるだけで余裕が生まれる

この修学旅行を通じてもこっちは重要な事に気づく、それは「なんだ私以外にもダメな奴はいるんじゃん」ということである。

それまでのもこっちは表向き「群れるくらいならぼっちでいい」思考であったが、どこかで自分がカースト最下位の存在であると認識していて、それ以外の人間はすべてリア充で到底対等には付き合えないと諦めてかけていた。

だがしかし班の3人と付き合ううちに「他の奴もよく見ればダメなとこ色々あるな」と気づき、そこから視野が広がった結果修学旅行後にはある程度の人付き合いにおける自信が持てるようになっていく。そもそものコミュ障というところは拭いきれないが、見方を変えるだけで気持ちにゆとりができたわけだ。

そもそも高校生ごとき所詮まだ全員何者でもないわけで、リア充だろうがぼっちだろうがそこでの上下関係などそもそも存在するわけもない。現実にしたところでたかが高校3年間で己を悲観する必要など全く無く、もこっちのように飄々としていればいい。

これまで「いないもの扱いされていた(もこっちが勝手に思っていただけだが)」もこっちが「いるもの」として認識されていくことになるが、班の3人それぞれの総評は「バカ」「キモい」「イカれた奴」と文字にすると中々辛辣である。まぁ実際すべてが悪い意味ではないが。いやうっちーだけはガチだな(この時点では)

3人のキーキャラクター

修学旅行後も、もこっちの学生生活に深く関わることになるのが一緒の班となった「ゆり」「吉田さん」「うっちー」である。

もこっち曰く「さすが余り物、ロクな奴がいない」グループであり、読んでると何となく余り物になった要因やもこっちとの共通点や相違点が見えてきて面白い。

仲良くなる気がないやつ「ゆり(田村ゆり)」

仲良くなる気がないというのはもこっち勝手な妄想で、本人はわりと面倒見は良く(せざるを得ない所もあるが)吉田さんにも物怖じせず仲を取り持ってくれる。

修学旅行では親友の真子が裏切った(?)ため、もこっちの班になってしまったが、真子の他に友達はいなかったようだし残りの2人はどうしようとしてたのだろうか。

と、心配になるほど実は友達がいないのだが、周りはすべてリア充と思っていたもこっちにとってはそれまで視界に入らなかったのかもしれない。

特にコミュ障というわけでもないが他人に合わせることが苦手でノリが悪く、本人は普通にしてるつもりでも「あの人何でいつも怒ってるんだろう?」と勘違いされてしまうタイプだろう。

修学旅行時はいたってまともに見えるが、いきなりグーで肩を殴ってきたりこの後どんどん闇の部分も見えてくることになる。

真子が傍にいることでぼっちからは免れているが、逆に社交性を持つ友達が傍にいると一歩引いてしまうため他の友達が出来ないというタイプかと思われる。もこっちや吉田さんは「女同士群れない」タイプなので気を許せるのだろう。

マイペースで物怖じしないという点では実はネモと近い性格なのだが、前向きか後ろ向きかでここまで違うかといういい例である。ネモもその辺り感じるものがあるのか、その後ゆり×ネモイベントもちょくちょく発生する。

修学旅行編では嵐山で合流したところで終わっているが、帰りの新幹線でも吉田さん真子交え4人一緒に帰ったようである(新幹線で吉田さんの胸をまた触ったとKC13巻で話している)

ちなみによくイヤホンを付けているが多分洋楽を聞いていると思う。なぜかと言うと洋楽好きはリアルでこういう奴が多いから。

はなからつるむ気がないやつ「うっちー(内 笑美莉)」



通称『絵文字』( ‘ – ‘ )

友達は多いが全員親友かと言えばそうでもなく、グループの中心人物でもないため損な役周りになることも多いキョロ充うっちー。周りに流されるだけの人生を送っている人は何気に共感できるのではなかろうか。

それなりに楽しく学生生活を送っていたようだが、この修学旅行中にもこっちの毒に当たってしまいその後ちょっとおかしくなってしまう。「こんなキモい奴と仲良くなってたまるか」と意識しすぎて逆に意識せずにいられなくなってしまう、主人公に辛く当たるのに実は好きみたいなベタなラブコメのヒロインのようである。もこっちからは(はなから仲良くなる気がないなら)気を遣わなくていい存在と認識されている。

ちなみにこの修学旅行編が初登場ではなく、野球応援(KC7巻喪59)のバスで隣同士になったことがある。典型的なモブキャラだったが、今思うとこの時も何気にあぶれていると思えてちょっとやるせない。がんばれうっちー。

こいつ誰だよ「吉田さん(吉田 茉咲)」



ここまで典型的なヤンキーキャラはリアルではそうそういないとは思うが、こみさんとは違った意味でストレートに感情をぶつけてくる貴重なキャラである。

どんな時でも感情に任せて我が道を行くタイプであり、表裏が無くかわいいものが好きだったりするのを全く隠さないタイプ。余計な事まで何でも口に出してしまうもこっちとは事あるごとに衝突するが、足をくじいたもこっちを背負ってあげるなど人情深いところもある。

他クラスにヤンキー友達がいるので自由行動などはそっちと回っても良かったはずだが、もこっちを心配してか一緒に回ってくれている。前日担任に「仲良くしてあげて」と頼まれているが故の行動だとすれば責任感が強い所もあるようだ(もこっち風に言うとヤンキーは友情を大切にするから?)

何気にゆうちゃんと並ぶほどもこっちにセクハラを受けている被害者でもある。

後のキーキャラも登場

その他ガチレ○さん真子、No.1嬢の加藤さん、顔文字’sの面々、吉田さんのヤンキー仲間などその後のキーキャラが続々と登場する。

加藤さんは初登場に見えるが、実は出席番号順でもこっちの前なため電話をかけてきたこともある(KC7巻)

前述の3人とのエピソードが主なためネモはこの修学旅行編ではあまり出てこない(一緒に風呂入ったり飯食ったりしてるが)が、旅行後から加藤さんがネモ&茜と仲良くなっていたり顔文字’sが1人増えていたりと他グループにも多少の動きが見られる。

成し遂げたもこっち

当初は最悪の思い出となるはずだった修学旅行であるが、班長としての役割をそつなくこなし、友達と呼べるものも出来た。

高校生活最初で最後の最難関ミッションである修学旅行を、リザルトSSSでクリアしたのだ。人は人生で1つでも何かを成し遂げれば、一生消えることのない「自信」に繋がる。

つまりそれまで根拠の無かった自信が人生で初めて現実のものになった瞬間、正しくこの修学旅行はターニングポイントになったわけだ。

もちろんこの成功も、もこっちがちゃんと班長として逃げずに(班決めでは速攻で逃げていたが)前向きにチャレンジした結果だということを忘れてはいけない。

 

 

結果この成功体験を元にKC10巻以降はいよいよぼっちから卒業し、周囲との関わりが増えることである意味漫画としてもどんどん面白くなっていくが、ちょっと疲れたので記事を分けさせていただきます。

もこっちが本格的にモテだすまでの軌跡とキャラについて②KC10巻~11巻編『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』レビュー
ここからは修学旅行が終わり、わたモテにおいても「後編」と呼べるKC10巻以降のことについて書き連ねていこうと思う。

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