もこっちが本格的にモテだすまでの軌跡とキャラについて③KC12巻編『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』レビュー

Pocket

よくぞここまできた。。。

ここまで挫折せずに読破してきた勇者たちにとりあえず拍手を送りたい。

読んだ方にはお分かりだろうがこの12巻は所謂わたモテにとっては集大成となる巻となる。

ここからのわたモテについては面白さのベクトルが変わってくると言うか、うまい言い回しが思い浮かばないので完全に下ネタとなるが、オナ禁1ヶ月目で全力オナニーした時くらいの気持ち良さが次々とやってくると言った方がいいだろうか。

いよいよ自分でも何を言ってるのかわからなくなってきたが、とりあえずこの巻はどの話もとにかく中身が濃い。全部について書いてるととんでもない量になりそうなので、一際重要な回である「卒業式」「クラス会」「クラス替え」を中心に書いていこうと思う。

スポンサーリンク

それぞれの「卒業」

この巻はAmazonレビューでほぼ星満点を取っているほど巷で話題になったのだが、その中で特に話題になったのが「喪115:モテないし二年目の卒業式」だ。

この回では、お世話になった先輩の卒業を見送ると共にもこっちも本格的に「ぼっちを卒業」したことが描かれている感動回である。まさかわたモテで感動する日が来るとは1巻時点では誰も想像できなかっただろう。さよならぼっちもこっち。

ぼっちが築いた絆たち

この卒業式回の肝は今江先輩との別れのシーンだが、その他にもっちがぼっちを卒業したことを示す事柄、即ちもこっちが築いた交友関係が描かれている。

一年前の卒業式(KC5巻)では特に何が起こるでもなく、何の感慨もあるわけもなく「来年は・・再来年はどんな卒業式になるんだろ・・・」と寒空の下1人呟くしかなかったもこっちではあったが、まさかここまでの事態に発展しているとはあのぼっち先輩も想像できなかったことだろう。

鼻水を流せばネモや加藤さん(うっちーも)が構ってくれるし、先輩に挨拶に行くのに戸惑っていれば吉田さんが連れて行き、帰りを待ってくれているゆりと真子がいる。(ついでに弟も見てる)


元々周りに悪い人間はいないだけにちゃんとしてれば1年前もこんな感じであったかもしれないが、いかんせん中二病を突っ走ってたもこっちにとっては当時想像できるはずもなく、自身が成長したことでようやく報われるようになったと言うべきか。

そういう意味では周りの人間が変わったわけではなく、もこっち本人が成長したからこそ築けた絆とも言える。

躊躇無くハンカチを渡してくる加藤さんに対してキョドることなく対処し、ティッシュをくれたネモに「ありがとう」と言えているもこっちを見て、「あぁ、俺らの知ってるもこっちはもういないんだな」と、読者目線から見ると先に行かれたというか、ある意味寂しい気持ちにもさせられる。黒木さんも普通の子になったんだねー。。。

抱きしめてくれた意味

この巻近辺ではもこっちに色々な人が絡んでいるため読者目線から見るとちょっと勘違いしがちだが、この卒業時点では今江先輩はもこっちにたくさんの友達が出来たことを知らない。

「あの素直じゃない子(吉田さん)にもよろしくね」とだけ言っている所、まだもこっちには吉田さんがいるくらいに思っており、ネモやゆりの存在は認識していない。

そもそも本格的にゆり真子と帰りだした頃には3年生は自由登校になっており、受験勉強等忙しくて一緒に登下校しているところを見ていなかった、また、クラスでの様子を見にくる余裕も無かったのかもしれない。

そんなわけで今江先輩からすると「あの子はまだ寂しい学生生活を送っているんだろうか。」「あの子にもっとしてあげられることはなかったかな。」というちょっとした心残りがあったのだろう。

だからこそ「お世話になってばかりだったので。。」と言われてもピンとこず、「私何もしてないけどね」というお互いちょっとズレたやり取りが生じている。

そう思って見れば今江先輩がもこっちを抱きしめたのは、「友達がたくさんできて良かったね」ではなく、「これからもがんばってね。あなたはひとりじゃないよ」という1年生時の「ぼっちのもこっち」を抱きしめた時の気持ちから変わっていない。


ここで今江先輩が「友達がたくさんできて良かったね♪」なんてスッキリ卒業していたら興ざめもいいところだった。今江先輩はもこっちのことを知らないまま、もこっちもそこまで報告する仲でも性格が変わったわけでもない。人とのコミュニケーションはそんなうまく行くわけもなく、何となくすれ違ったままの別れ。ここにわたモテの様式美みたいなものが散りばめられていると思う。

今江先輩にとっては「ぼっちの子」のまま卒業し、もこっちは「ぼっちの自分」としてそれを見送った。今江先輩とはある意味「ぼっちのもこっちを描いたわたモテ」のメタファーであり、その先輩が卒業することはそれが終わったことを意味することでもある。

想いが交錯する打ち上げ

卒業式がもこっちの「ぼっちからの卒業」を描いた話だとすれば、打ち上げの回は「もこっちを取り巻く各キャラそれぞれの想い」が描かれている言わば「わたモテ群集劇場」だ。

この後どんどん動き出す各キャラの言動を見ているだけでも、それぞれの想いが透けて見えてきて実に面白い。新・わたモテの始まりを象徴する回でもある。

もこっちの事をずっと見てたネモ

集合場所に着いた際に「あっ黒木さんだ?来たんだー」と真っ先に声をかけてくるのがネモというのは実に心憎い。その後もこっちが母親に電話するシーン含め、1年のクリスマス会を思うとこれだけでも泣けてくる。この感動は1巻から読んでいないと味わえない。

ちなみに打ち上げ話が持ち上がった際、ネモは「1年のクリスマス会とか来なかった」と言っているが、これ1年の時からもこっちを見ていたということを明かす何気に衝撃的な告白である。ちょっと後なら「何で来なかったこと知ってんの?」とか言いそうだが。

実は入学試験の一件からずっと仲良くなれる機会を伺っていたネモだが、実際まだこの打ち上げ時点ではそこまでは至っていない。(帰り際ゆりが黒木さんは別の人といたと言っていたのはたぶんネモのことだろうが)

マジでヤバイうっちー

焼いた肉を黙って渡すのは相当やばい。しかも友達がいる目の前で。



もううっちーにはもこっちしか見えず、溢れる想いが決壊寸前なのがわかる。これまでコソコソとアプローチしてきたのが加藤さんの急接近による焦りが見える。

それにしても焼肉屋の肉に塩コショウとか、うっちーはそこそこいいとこのお嬢様なんだろうと思われる。休みのたびに旅行に行ってるようだし。

KY南とマリア加藤さん

わたモテとしては実は珍しい「主人公にイジワルする」枠として台頭してきた南であるが、ここでもその性格を遺憾なく発揮すべく、席代えした途端に隣のゆりともこっちを無視して後ろの真子に話しかけている。

まぁこれだけ見ると「お前ら陰キャなんかと絡んでらんねー」というキョロ充の嫌な性格が表現されてるだけに見えるが、よくよく考えると席の配置的に対面の加藤さん&イケメンまで無視してる。

誰にでも優しい加藤さんは「一番敵に回してはいけない」人種だし、イケメンの方も男友達が多そうなので、男女共に南の評価はこの瞬間激下がりしただろう。クラス発表の時に一緒に行こうなんてよくも言えたもんだな。

こういうことをする人間がいると場の空気はものすごく悪くなるものだが、それに全く臆することなく明るく振舞い、もこっちや横のデブまで気配りを欠かさない加藤さんとの対比がすごい。人間が出来上がりすぎている。

イケメンも、もこっちの失敗に対し笑ったり話かけたりしてるし実はめちゃくちゃイイ奴なんである。そもそも二人三脚も嫌がらずやってくれたところからすごい。ほんともこっちの周りにはイイ奴が多い。

何となく距離を感じるゆり

加藤さんやイケメンに対しても平然と絡めるようになったもこっちではあるが、それにどことなく疎外感を感じているゆり。

「黒木さん行かないならやめる」と言っている時点で既に真子よりもこっちに親友感を感じ始めているゆりではあったが、同じ仲間だと思っていたもこっちが自分以外の人とも絡んでいるのを見て、(黒木さんってそういうこともできるんだ)(もしかして普通に友達いないのって自分だけなのでは?)という寂しさを感じさせている。

最終的には真子や吉田さん、もこっちも戻ってきてくれたことで救われたわけだが、サバサバした性格だけに普通にそのまま1人で帰ってクラスも別々になればそれで終わり、という未来もあったかもしれない。

ゆりはこの時に改めてこの4人に「運命」みたいなものを感じたんだろう。

どちらにせよ真子は(修学旅行の件もあって)ゆりをほっとかないだろうし、吉田さんもクラス会に誘ってくれたのはゆりなのでどの道戻ってくるつもりではあったろう。もこっちは普通に1人で帰ってただろうけど。

新しい生活が始まるクラス替え

もこっちにとってはラストスパートで駆け抜けた感のある2年生であるが、3年生になり、これまでのもこっちに絡んできたキャラがクラスに全員集合する。

ちなみに全員集合したのは偶然ではなく、例の体育教師の粋な計らいかと個人的には思う。実際クラス分けは生徒を見て決めるみたいな話もよく聞くし。そういう意味ではうっちーを別クラスにしたのは正解だと思う。

ネモやゆりなんかもこっちと一緒になれて密かに喜んでいるのに対し、当の本人は「げっ、コオロギ(こみさん)と一緒かよ?」というところが一番引っかかっているのがらしいところではある。

ネモはもこっちと同類であることをカミングアウトすることで、これ以降解放されたように闇の部分も見せていく。ゆりと違って根がポジティブなキャラの闇なので、この二人のもこっちへ関わり方に注力して読むとこの後がとても面白いと思う。

というわけで次回ディズニー遠足編に続く