もこっちが本格的にモテだすまでの軌跡とキャラについて②KC10巻~11巻編『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』レビュー

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前編の続き

もこっちが本格的にモテだすまでの軌跡とキャラについて①KC1巻~9巻編『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』レビュー
「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!」という漫画をご存知だろうか。 連載当初は「女子高生のリアルなぼっち生活」というありそうで無かった題材で話題となり、アニメ化までしたWeb漫画である。 しかしアニメ後はひっそりと鳴りを潜め、作者にして「アニメが終わって部数絞られ続けてる」と嘆いていた中、ここ最近最新巻がAmazonカスタマーレビューで星平均4.9という数値を叩きだすほどに人気が再燃している。(漫画に対して辛辣なレビューが多いAmazonにおいて300近いレビューのほとんどが星5つというのは驚異的)

ここからは修学旅行が終わり、わたモテにおいても「後編」と呼べるKC10巻以降のことについて書き連ねていこうと思う。

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それなりな学生生活の難しさと楽しさ(KC10巻-11巻)

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修学旅行でゆりや吉田さんとそこそこ仲良くもなり、ここからはもこっちが望んでいた「それなりな学生生活」が始まるわけだ。やっとだ。10巻、いや2年もよくがんばったと言ってやりたい。

もこっちとしては当初妄想していたイメージとはかけ離れていることに多少の違和感はあるものの、己のことはよく自覚してきたようで、ある程度それを受け入れることにより徐々に友達の輪も広がっていく。

ぼっちだった頃のわたモテもそれはそれで面白かったが、ここからはそのぼっちを脱却する階段を登っていくもこっちを見るたび、長過ぎた暗黒の助走期間も相まって強烈なカタルシスを味わえる。

ズレまくるも徐々に溶け込んでいくもこっち

それまでもこっちにとって友達と言えばゆうちゃんか辛うじてこみさんがいたくらいだが、ゆうちゃんは学校外だし、こみさんに至っては友達かどうかも怪しいド変態である。よって学校で初めてまともな友達ができたわけだ。

しかしド変態のこみさんと違って、善良な一般市民であるゆりと真子とは当然何を話していいかもわからず、コミュ障あるあるの「初対面はそこそこ喋れるのに知り合いになるとうまく話せない」状態になるもこっち。



「ゲレンゲではイケてたのに後に街中で会うと何かパッとしなかった。」とでも言えばリア充でも理解できるかもしれない。

(これならぼっちのが楽でいいな・・・)と思いつつもちゃんと溶け込もうと努力するあたり、そろそろぼっちやってる場合じゃない「乗るしかない、このビッグウェーブに」というそれなりの決意はあったようだ。

しかしぺ○ス話をいきなり喋りだすような女に対して、距離を置こうとしないイイ奴だったのは幸運だったとしか言いようが無い。普通にそのまま疎遠になってもおかしくない。何気に周りの人間には恵まれているもこっちである。

そもそもなぜぺ○ス話を好きそうだと思ったかはホント謎でしかない。もこっちは下ネタは万国共通だとでも思っているのだろうか?

ゆりも変わろうとしていた?

さて、ここからもこっちにとっても重要なキーキャラとなるのがゆりである。

修学旅行後も登下校から始まり昼飯を一緒に食べようなどとぐいぐい迫ってくる。旅行間だけの関係で終わっても良かったはずだが、なぜその後ももこっちに絡んでくるのだろうか?

これは想像でしかないが、ゆりは真子が幼馴染だとすると自分から友達を作った経験が無いのではなかろうか。人望のある真子がいつも隣にいたから、その流れで多少の付き合いはあったろうが、そこから自ら交友関係を広げようという気持ちがあまり見受けられない。

というか暗殺施設ででも育ったのか?と思わせるフシまである。友達…って何?と言い出しかねない勢いだ。昔からこうだったのか、それとも過去に何かあったのか、、



「1年時に真子とクラスの人数人でクリスマス会をやった」と言っているので、もしかしたら南との確執もそのあたりに何かあったせいかもしれない。

ゆりとしては「これ以上友達なんていらない」といった考えだったかもしれないが、修学旅行で真子に裏切られた経験から、もこっちと同じように「やっぱこのままじゃダメだ」と思う所があったのかもしれない。そしてたまたま同じ班になったもこっちと吉田さんに運命めいたものを感じ、「この2人と行けるところまで行ってみよう」と決意したのだろう。

そんなゆりにとってその2人は対等の(悪い言い方をすれば下の)存在であると思えたから、ということも当初はあっただろうが、しばらく付き合ってみて実は自分には無いものを持っていて意外と面白いなこの人たちと思った部分もあり、旅行後も積極的に関わっていってるように思える。



沈黙に対しても気を遣わなくても済むし、真子のように他の友達に行ってしまうこともない。ある意味”癒し”のようなものを感じていたのかもしれない。急に先生の目の前で「これ、タバコでやっちゃった」とか言い出すもこっちにハラハラはさせられるが「黒木さんはバカ」とわかっているが故に逆にそういった行動にすら安心感を抱いていたのではなかろうか。

特に共通の話題も無いもこっちは付き合い方に苦難するが、逆に言うと共通の趣味が無い者同士なのにうまくやれてる時点で、もこっちからしても「コイツとは何かやってけそうだな」と思われていたようである。

ちなみにゆりは登場当初はまだ表情が見えるが、時を追うごとに感情が無くなっていき闇の感情を出すようになってくる。これは裏を返せば最初は初見用に見繕ったキャラであり、もこっちを友達と認めるにつれ素が出せるようになったと言えるかもしれない(仲良くなると礼儀と共に愛想も無くなるのはコミュ障あるある)

この素の部分は真子にすら見せて無い所も多いのがその後見受けられる。



そういう意味ではもこっちに対しては友情というより家族に近い感情があるかもしれない。巷でよく言われる百合的な感情とは全くの別物だろう。(多分この漫画に出てくるキャラでそういう要素を持ってるのはうっちーだけである)

ちなみに所謂萌え豚御用達日常系アニメではこういう「社交性あるんだか無いんだかよくわからないクールキャラ」なんてのはありえない。大体は何かしら能力があったりかわいい所があったりするギャップから周りからちやほやされるもんだが、ゆりにはそれが一切無い(読者目線で見るとあるんだが)わたモテのキャラはそういうとこが人間臭くて面白い。

それにしても休んだ際「黒木さんとご飯食べてる?」というLINEを真子に送ってくる空気の読めなさたるやすごいものがある。

「私は黒木さんをわかってる」という立場から真子に対しマウントを取ってるようにも見えるが、ゆりの場合友達との距離感とかそういうものがもこっち以上にわかっておらず、天然で言ってそうだから余計タチが悪い。そら吐くわ。

まぁ突然「ペ○ス」話を切り出すもこっちとはある意味お似合いの2人ではある。

真子に見る「友達の友達」との微妙な距離感

真子は「カースト間が横断可能」という学生として理想的なスキルを保持している人物である。魔界と人間界を自由に行き来できるようなもんだろうか。

実はうっちーやネモとも仲良しな真子

どのグループにも入っていけるし、一歩引いた謙虚さと人柄の良さから誰からも妬まれたり悪く言われることもない。面倒見が良く人望があり、男でもこういうタイプは友達が多い。

ゆり繋がりでもこっちに対しても優しく絡んでくれるが、この「悪い奴じゃない友達の友達」というのがコミュ障にとっては実にやっかいなもんなのは経験ある人も多いかと思う。特に共通の友達がいない場面でのツーショットと来たらもう。。

自分も学生時代、友達の友達と何故か2人きりでマリオカートをやったことがあるが、変に気を遣ってしまい居たたまれない空気になった。今思い出しても地獄だ。

こういうのはこみさん(feat.優)のようにお互いをゴミクズとでも思っていた方がまだ絡みやすい。友達との距離感というのは「よくわからない」というのが一番困るのだ。

そういう意味ではゆりも吉田さんも極端に距離感がおかしく、特段良い人でも無いので、もこっちとはうまくいっている部分もある。前述のようにゆりとでは何でもない沈黙も、真子は良い人すぎるが故もこっちとしても邪険にできないだろう。

周り回って最終的にもこっちをいい人と勘違いし、もこっちにはガチ○ズと勘違いされてしまうことになったのは、結果的にお互い「よくわからない人」から脱却できたという点では幸運だったかと思う。真子としてはロクなものではないが。

たださすがに個室トイレに入ってくるのはちょっと尋常ではないし、そういう意味では真子も距離感がちょっとおかしいのかもしれない。いや、女子トイレで実際何が起こってるかは知らんけど。

ちなみに前述通り顔が広く、ゆりとは長い付き合い(幼馴染?)のようだが、他にもうっちーや南、ネモとほぼクラス女子全員と仲がよかったりする。あの吉田さんとすらうまくやっているんだからそのコミュ力たるや凄まじいものがある。

ただ友達が多いだけに気苦労も多そうで、リアルでこのポジションを維持しようとするには余程の出来た人間で無いと無理だろう。特に南とゆりの間に入るのは常人なら胃に穴が開いてもおかしくない。

共通の趣味を持っていた意外な人物

前述のゆりや真子との絡みの他、別枠にてオタ仲間という穴を埋める存在がネモとなる。

当初一番遠い存在だったはずだったリア充が、実はアニオタ(しかも声優志望)だったというのは何となくサスペンス的な趣まである。ラスボスが父親だったみたいな感じだろうか。いや違うな。


後々語られるが、中学時代のとある出来事でトラウマを抱えてしまい、アニオタであることを隠しリア充を演じざるを得なくなったネモ。

ただ日常系アニメが好きだと言っているあたり、そんなアニメのような青春が送りたいという夢も捨て切れなかったようだ。もこっちのようなオタ友達が欲しいとも願っていたようで、実は1年時から仲良くなろうとしていたことも後々語られる。

もこっちが見ているアニメに対して「私はあれ嫌い」と平気で言ってしまうあたり一見オタ同士のマナーがわからないライトオタとも取れるが、自分を偽らず本音を言える相手が初めて出来たことに対して嬉しさもあったのかもしれない。

そもそもが本性はズバズバモノを言う性格ではあるので、もこっちにとっては迷惑な話かもしれないがいい相手が出来たと思ったのだろう。

一応嫌いとは言いつつもアニメはほぼチェックはしているようで、もこっちに対して妙にマウントを取ろうとする変なプライドとライバル意識もあるようである。まぁエロゲや乙女ゲーまで網羅しているもこっちからすれば「アニメ好きの一般人」でしかないわけだが。



ネモが声優を目指してることがバレかけた際にちゃんと庇うあたり、実は結構空気の読めるもこっちに助けられている部分もある。もこっちからすれば変に恨まれたくないという自己保身でしかないが、ネモがその後もこっちに対して壁を取り払ったのは、そういう所で信頼を勝ち取った結果でもあるだろう。

加藤さんに先手を取られるうっちー

それまで「派手な女枠」としてちょくちょく登場していた加藤さんが、11巻からいよいよ本格的にもこっちに侵攻を開始する。

とは言えど、もこっちのことは「地味な女をプロデュース」くらいの感覚で、この時点では真子と同じく面倒見がいいだけの存在である。



ただそれを眺めるしかできないうっちーとしては気が気でないことは容易に察することができる。「あんな奴何でもない」と影でおみやげを渡したりしてる中、平然と加藤さんに掻っ攫われていく(ネイルしただけだが)のを目の当たりにしたのだから、その後のバレンタインであれだけ強引にチョコを渡そうとしたのもわかる気がする。

「私だけの黒木さん」でいて欲しいというのはゆりやネモにも共通するが、「私以外誰も気づかないで欲しい」という危ないレベルまで進化しつつある。ホント何でこうなってしまったのか。目を覚ませようっちー。

ちなみにその後の話でもうっちーの当て馬として加藤さんがちょくちょく煽りを入れることになる(加藤さんはそんなこと知りもしないが)

爆誕!変態シスターズ

KC9巻からは初の後輩キャラと呼べる朱里が登場する。(その前から弟の見舞いに来たりクリスマス会等でちらっと登場はしているが)

至ってマトモな人間ではあったが、不幸にも恋した男の姉と恋敵が学園随一のド変態こみさんだったが故、ズルズルと暗黒面に落ちていくことになる。まぁそれ以前に本人に向かって「おちんちんが見たい」と言ってしまうあたり素養はあったようだが。


それにしてもこみさんのド変態ぶりは益々拍車がかかり、実はわたモテで一番ヤバイ人物なのではなかろうか。恋に溺れて周りが見えなくなっているのはわかるが、体育祭で盗撮したり弟の布団に入り込んだりするのにはさすがにドン引きである。男女逆なら逮捕されてるレベル。

変態シスターズだの竿姉妹だの酷い言い様ではあるが、この2人の言動を思うとあながちもこっちが酷いわけでもなく当然の報いのような気がしてくる。

もこっちが「変わった」と思える2つのエピソード

様々な人間と関わるようになる中でもこっちが変わったなと思える2つのエピソードがある。

行ってよかった雪の日

1つは「喪109:モテないし雪の日の学校」だ。

この回では「もこっち自身」と「周囲」が変わった事のプチまとめみたいな話になっている。雪の日で人も少なく、授業は自習といういつもと違う日常の中で、もこっちがクラスの中心になるというそれまでに無かった現象が巻き起こる。


加藤さんが何気なくもこっちにオススメの本を尋ねたのは、ちゃんと心を開いていることが周囲に伝われば、周りに自然と人が寄ってくるということを表す象徴的なシーンだ。ぼっちの頃は人は勝手に寄ってくると思っていたもこっちが、自分で何かを変えなければそうならないということにこの時点で気づいた。かどうかは定かではないが。

何か行動すれば何かが変わる、ということは最後の「行かなきゃよかった、とも思えないけど・・・」というセリフがすべてを物語っている。

修学旅行にしても結果的に「行ってよかった」わけだし、もこっちはこれで「行ってみてよかったと思えることがまた起こった」ことで、今までの自分とは違う何かをすることでそれはこれからも起こるという確信を持って生きていけると思ったはずだ。1年のクリスマス会であれだけキツイ思いをしながらも、この後クラス会に参加するのはこの辺りの心境の変化もあったのだろう。

ちなみにこの回、吉田さんに関しても、もこっちの言うとおり「ヤンキーなんだから休めよ」と思うが、ゆりやもこっちのおかげで学校に来る理由みたいなのが出来た、という吉田さんの変化も表すエピソードでもある。

焦りの無さと弟との家族愛

そしてもう1つは弟と2人で留守番した「喪102:モテないしいつかの冬休み」だ。

家に誰もいないんだからコタツでゲームでもして適当に過ごしていても良かったのに、買い物して風呂沸かして「後はすべてあいつ(弟)にやらせるか」と言いながらも飯の支度までするという意外とお姉ちゃんしている部分が垣間見れる。

それまでは冬休みと言えど終わればまた学校が始まる、という焦りの気持ちがどこかあったためもやもやしていたものが、友達ができて学生生活が充実してきたことで心に余裕が生まれてきた故の行動かもしれない。そしてそうなれたのは弟のおかげという部分も少なからずあるため、もこっちなりの「今まで苦労かけたな」的な恩返しなのではなかろうか。



ちなみにこの時2人で見ている「消失(映画)」とは「涼宮ハルヒの消失(劇場版)」のことであるが、何気にこの映画3時間近くあるので、弟がちゃんと最後まで(姉の趣味に付き合って)見ている所、弟としても「何か姉ちゃんもう大丈夫そうだな」と安心感を感じているんだろうなと思える一幕である。

その後コンビニにも付いて来るのは、それまでもずっと姉を心配していたのだろうことを思わせるワンシーンである。外でちょっとウ○コしてくれとか言われたりもしたが、ちゃんと姉弟愛みたいなのは残ってはいたようだ。

そして、新たな日常が始まる

12巻からはいよいよ3年生になるもこっちではあるが、それまでのぼっち生活からは想像もつかないようなカラフルな日常が始まることになる。

ただ急にそうなったわけではなく、すべてのエピソードにおいてもこっちがそれまで積み上げてきたことの集大成となるわけで、ぼっちで終わらなかったのもすべて本人が努力した結果であることは忘れてはならない。もこっちは成し遂げたのだ・・・!

というわけで続く。

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