この前ニューヨークのYoutubeを見てると「今際の国のアリス」って漫画を絶賛してたので、気になって一気見してみました。
めっちゃおもろいやん!
最初はよくあるGUNTZみたいな得体の知れない世界系に、これまたよくあるデスゲームものを合わせた感じで、ハイハイまたこういうのね。って感じで読んでたんですけど、「終盤に向かってどんどんおもろくなる」って感じで、もう次はどうなんの?最後これどうすんの?と読み進めるうちに一気に読んでしまいました。
もう5年前に完結してる漫画で考察もされ尽くしてるので今さらって感じですが、最近Netflixでドラマ化もされてにわかに再燃しているようなので、個人的にラスト後にも気になった謎について考察していこうかなと思います。
一応ネタバレ全開です。
目次
「今際の国」に入国した人々は何だった?
これは最終話から「隕石落下により生死の境を彷徨った人々」が入国していた、ということが判明します。まぁ「今際の国」って言っちゃってますから、隕石はともかくある意味最初から「現世で死にかけの人々だった」ってのはネタバレしてますね。
今際の国での「げぇむ」自体その前からずっと行われていたとすれば、起因は「隕石落下」に限らず臨終状態の人が参加することになるんでしょうが、それだとヨボヨボの老人だらけで全然盛り上がらなさそう。
隕石落下によって若者が溢れ、たまたまこれだけ盛り上がっただけで、普段はもっと地味なものなのかもしれません。じょおかあもこれにはニンマリだったことでしょう。
「でぃいらあ」として入国する条件は?
「でぃいらぁ」側は同じ隕石落下の被害者でも「蘇生できるチャンスが無かった人」つまり即死した人だったと思われます。
これはげぇむの性質上、でぃいらあ側が勝利する可能性が限りなくゼロなためです。(げぇむが全てくりあされるまでぷれいやぁは続々と入国するので、実質全滅させることが不可能)あの世に行く前に適当に駆り出されたってとこでしょう。
モモカ達が「でぃいらあ」として入国した際に「君達はラッキーな側だ」と言われてますが、現世に戻れるチャンスは先ず無いので全然ラッキーな側では無いですね。というかびざ獲得条件が「ぷれいやぁの死亡人数」で、「担当するげぇむがくりあされたら死亡」って時点でめちゃ厳しいと思うんですが。まぁ衣食住ちゃんとしてて、死ぬ時は楽に死ねるって点ではラッキーかもしれませんが。。
入国時期にタイムラグがあるのはなぜ?
スタート(入国時期)がみんな違うというのも謎です。スタート地点もバラバラだし、スタートする時の人数も違います。明らかに不公平ですよね。
GUNTZみたいに「死んだタイミングで都度参加」というなら違うのも分かりますが、みんな同時刻の隕石落下によるものなので、一斉参加でもいいはず。
早く入国すれば多くの「げぇむ」に参加しなければならず、しかも多くのげぇむにクリアしたからと言って強力な武器が手に入るとか、特に有利になるってわけでもありません。げぇむ自体も誰かがクリアすればOKなので、ドードーみたく、クリア目前に入国する人の方が圧倒的に楽。
これは、マヒルが推測したように「人によって生き残るためのノルマが違う」ってことなんでしょうか?何か法則はあったんでしょうか?
まず考えられるのは「現世での重症度が高い(死に近い)ほど入国が早い」つまり、現世での状態が非常にヤバイため、生き残るためのハードルが高い。ってとこですが、最古参に近いアグニやニラギが死にかけなのに対し、同じく古参のマヒルがほぼ無傷なのはおかしいので、単純に大怪我してる順というわけでは無さそうです。
なので可能性が高いのは「心停止した時間が長い順」つまり「『意識』が肉体から離れた時間=今際の国の滞在時間」だったんじゃないかなと。
これなら怪我の程度が違うのも頷けます。現世に戻ってから、みんな心停止を経験してることをやたら示唆してますし、アリスは「一分程度止まっていた」と時間まで示唆されています。
ちなみにこのアリス基準で「心停止時間1分=今際の国1カ月」だとすると、約70日間滞在したマヒルなんかは2分半程度心停止してたことになります。ただ生存曲線からすると5分経過でも生存率は25%程度あるので、前げぇむの参加者であるキューマ達と同時期のぷれいやぁの中にも永住権を手にせず現世に戻れた人がいたかもしれません。
現世に戻るために「生きる意思」は関係なかった?
「今際の国」のぷれいやぁは、現世で何らかの理由により「生きる意味」を求めて彷徨っている人たちであり、最終的に「生きる意思を諦めなかった」人が生存できた。
なんて良い風な話にも見えますが、多分それは後付けでそう見えるだけで、結局のところ現世に戻るには本人の強い意思とか関係なかったかと思います。
「らんなうぇい」のヤマネや、ソルベにしてもそうですが、生きる理由がめちゃある人も死んでるのに対し、屋上で自暴自棄になって酒飲んでて生存した人もいます。
要はマヒルが推測したように「げぇむは勝ち負けが目的ではない」わけで、げぇむがどうとか以前に「死ぬ人は最初から決まってた」ってことです。
げぇむ猛者であったり、優秀な仲間と組んでもげぇむ内容が1人だけ生き残る内容だったりと、理不尽なものが多いのはこの辺りが要因かなと。
「答え」を知る女性の存在意義は?
ウミガメとマヒルが遭遇する「答え」を知る女性。
結局名前も何も出てきませんが、恐ろしく記憶力がいい、みたいなスキルを今際の国にまで持ち込んでます。
殺される直前に言おうとした言葉は、「あれは花火じゃあなくて(隕石の光だよ~何でみんな覚えてないの~)」みたいなことでしょうが、この女性の存在から分かる事は「答え」そのものではなく、今際の国においてメタ的な発言は許されてたって事実です。
今際の国にとって「隕石で死にかけた人がここにいる」という「答え」は結構なネタバレなのに、多くの人に話していたであろう女性はなぜか「今際の国」に排除されていません。
つまり、今際の国においてメタ的な発言に対しペナルティがあったのは「でぃいらぁ」だけであって、「ぷれいやぁ」が「答え」を話したり、「国民」が今際の国のことをネタバレすることに対してはペナルティは無かったことになります。現にげぇむ中も「じょおかぁ」の存在等、数々の噂が広まってますし、ヤバとバンダはエンジに「今際の国」についてクリア後の選択のことなど、かなりのことまで聞きだしています。
そもそも「ぷれいやぁ」が「答え」を知ったところでどうしようも無いんですから、言ってみれば「今際の国」にとっては「答え」をネタバレしてからスタートでも良かったわけです。なのでミラが言う「答え探しなんて無駄なことは止めなさい」ってのは真理であったわけです。
もしかしたら、早い段階で「国民」から全てを聞きだして今際の国のことを把握していた「ぷれいやぁ」がいたかもしれませんね(個人的にミラは色々と知ってたんじゃないかなと思います)
今際の国の「領土」と「外側の世界」
これに関しては作中でもハッキリと解明されていないため推測となりますが、
・げぇむ会場があるのは東京23区内だけ
・都心部から離れるほど荒廃と自然化が進む
・海に出て南を目指すと領海12海里で排除される
・厚木や相模原などの神奈川の街が無い
これらの情報から、今際の国の領土は『東京23区内とその近郊まで』で、領土から出ると排除される、というシステムになってると思われます。この範囲は「隕石の被害が及んだ範囲」とリンクしてるんでしょう。
ちなみに外側の世界はオープンワールド系のゲームによくある、「風景描写はされるけど実際は誰も行けない(システム上作られていない)」みたいなもんかなと思います。マヒルがあのまま富士山を目指していたら排除されていたでしょうね。
ヤバとバンダはその後どうなった?
ラストでアリス始めほとんどのぷれいやぁが「永住権を手にしない」を選ぶ中、迷う事なく「手にする」を選んだヤバとバンダはその後どうなったんでしょう?
まず「手にする」を選んだことで現実世界での死亡は確定でしょう。もっと言うとその前から死亡は確定してた側かと思われます。
今際の国最後のアナウンスで「『今回の』げぇむはすべて終了」「『次回』のげぇむ」と言ってるので、げぇむ自体はまだ続くものだと思われます。なので「国民」として、次回のげぇむを運営する側に回ったことは間違いないかと。
しかしじょおかぁの地位を狙ってるヤバなんかは実質クリア不可能な超理不尽なげぇむを作るでしょうし、バンダなんかミラより残虐な心理げぇむを作りそうです。絶対に参加したくない。
ただ気になるところでは、この二人がエンジから今際の国の情報をどこまで聞き出したかです。エンジもちょっと謎が残る人物で、げぇむ自体を「国民側で何度か」こなしているようなことを言ってるんですよね。もしかしたら前げぇむよりもっと前のげぇむからいた可能性があります。
となると今際の国について結構な情報を知っていた可能性もあります。普通に考えると「げぇむくりあ後の選択」くらいかなとも思いますが、もしかしたらヤバからしたら決定的な何かを掴んだが故に「手にする」を選択した可能性も無くはないかと。
ちなみにたまたまだと思いたいですが、この二人アリスが見た犠牲者リストに名前が載っていないので、今際の国を満喫した後にしれっと生き返ってきそうで怖い。
じょおかぁの正体とは?
自分的に「じょおかぁ」は誰か「個人」というわけでは無く「思念の集合体」みたいなものだったんじゃないかな、と思います。
「今際の国」を統括していたのが「じょおかぁ」だとしても、それももっと別の「意思」によって動かされていたのではないかなと思います。そういう意味ではアリスが言った「アンタはただの中間管理職だろ?」という評価はわりと芯を食ってるんじゃないかなと。
まぁ、ヤバみたいな「支配欲にまみれたぷれいやぁの慣れの果て」説の方が面白そうなので、その方が夢があっていいですけどね。個人的には「ミラがじょおかぁだった(もしくは憑りついていた)」説が面白そうです。もともと他ぷれいやぁと違って何か色々知ってた風でしたし、ミラを倒したアリスの元にだけ現れたってのもあります。
そう言われてみれば、ぷれいやぁのうち最後に「じょおかぁ」と話せたのってアリスだけなんですよね。これが「げぇむ」の報酬だったとすれば、アリスがその気なら色々と教えてくれる可能性もあったわけです。アリスはもう答え探しは止めてたので聞くことはありませんでしたが、もし聞いた場合どんな返答が帰ってきたかは興味深いところです。
ちなみにクズリューが「『じょおかぁ』の地位に昇り詰めれば・・」と話していることから、「国民」になれば何らかの形で「じょおかぁ」という存在を知るんでしょうが、げぇむで「国民」側が勝てば地位が上がるとか、そういった具体的な話は無かったようなので、個人が「じょおかぁ」になることはそもそも不可能なんでしょう。
加納未来だけなぜクイーン?
国民四天王はみんなキングなのに、ミラだけなぜかクイーン。
女性だからキングよりクイーンだろって言えばそれまでですが、これは多分「不思議の国のアリス」のオマージュかと思われます。
不思議の国のアリスではハートのクイーンは「ハートの女王」として、トランプの中で一番偉い立場となっています。やたらと残虐性があったりするのもその名残かと。
「不思議の国のアリス」ではアリスが「アンタたちなんてただのトランプの癖に!」というメタ的な発言をすることで夢から覚める、というくだりがありますが、今際の国のアリスでもアリスが最後に「アンタはただの中間管理職だろ?」というメタ的な発言をして現世に戻ってるので、この辺もセリフ含めオマージュだと思われます。
他にも「不思議の国のアリス」でもハートの女王はアリスとクロッケーで勝負しています。原作では女王は手下を使ってズルばかりするんですが、ミラは真面目にやってましたね。(薬飲ませたのがズルと言えるかもしれませんが)
不思議の国のアリスからのネタは結構多いので、探すと結構面白いです。名前なんかはほとんどオマージュで、ウサギ、ウミガメ、ドードーとか、チシヤはチェシャ猫ですね。ボーシヤとかほんとに帽子屋で出てきますw
ハートのキングの正体は?
ミラ繋がりで気になってる人も多いであろうこの謎。ハートのキングは誰だったのか?
作中でもしれっといつの間にかくりあされてて、誰がくりあしたかも出てこないので完全に想像ですが、まず前項でも触れた「不思議の国のアリス」オマージュという視点で考えてみます。
「不思議の国のアリス」でもハートのキングはトランプ界の王様である「ハートの王」として登場します。気弱な性格でハートの女王に従いつつも、アリスを助けてくれる人物でもあります。
ハートのげぇむは精神的に追い詰めるものが多いですが、これはすべてハートの女王の趣味であって、本来ハートは愛の象徴。つまりハートの最高ランクであるキングのげぇむは、ぷれいやぁにとって愛に溢れるげぇむだったのではなかろうかと。
そしてもう一つカギとなるのが、かつてキューマ達が前げぇむで最後に挑んだげぇむがハートのキングだったということ。
このシーンで「ん?」と思った人は結構いると思いますが、ハート系のげぇむは「全員死刑」みたいなげぇむが多いです。仲間を裏切って、精神的に追い詰められて、生き残るのは一人だけとか。それなのにミラは「最後はこの4人で行ってみない?」と提案してるんですよね。
もちろんこの4人なら大丈夫という自信や、その方が面白そうというミラの単なる好奇心だったかもしれませんが、ここに来てなぜそんなリスクを犯そうとしたのか?
これに関してミラは「ハートのキングが危険の無いげぇむだとわかっていた」うえで、「他の3人を試したかった」んじゃなかろうかと。
これがミラ自身が尋常でない想像力と考察力から導き出したのか、そもそもミラが運営側だったのかはわかりませんが、そんな気がします。
つまりはハートのキングは空席というかそもそも存在しておらず、ハートのキングのげぇむは「今際の国が用意した愛溢れる超簡単なげぇむだった」んじゃないかなと思います。
ただしハートのキングのげぇむに参加したぷれいやぁは、一生今際の国から抜け出せない=現実の死が確定であることを突き付けられる、ある意味絶望のげぇむだったのかも。。国民四天王の死生観がバグってる(現実に戻ることを諦めている)のもそのせいかもしれませんね。
今際の国のアリスは「時間の流れ」という視点で見ても面白いため、時系列をまとめた考察もしてみました。
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